2007年2月28日水曜日

シューベルト 「美しき水車小屋の娘」Ⅱ ディスカウ

シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」を初めて聴いたのは、フィッシャー・ディスカウのバリトン(伴奏はジュラルド・ムーア)のカセットでした。今から25年以上前のことです。

その頃通勤に1時間ほどかかる職場で、往復の車の中で毎日飽きもせず聴いていました。その当時、「凄い歌唱力!」と感嘆したものです。

久しぶりに聴いてみたのですが、懐かしさがこみ上げてきます。当時の心理状態や通勤途中の情景までがよみがえってきます。

「Das Wandern」のフレーズで、キーがやや高めになるところがあるのですが、当時から妙に耳についていたことを思い出します。今も変わりませんね。

このディスカウの歌唱を今聴くと、やや凄みのある歌い回しが耳につくような気がします。全曲聴き通すことに苦労がいりました。

でも、当時、私の気持ちを高めたり、和らげたり、慰めたりしてくれたカセットには違いありません。何しろ、本当に好きな曲集なんです。

2007年2月27日火曜日

シューベルト 「美しき水車小屋の娘」Ⅰ プロチュカ


シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」のCDを久しぶりに買いました。近頃話題に出ているというプロチュカのテノールです。

色々な評では、「思い入れの入った名盤」「情熱的な歌唱の名盤」などという言葉が並んでいました。実際に買って聴いてみて、その期待以上の歌唱に満足しました。

全くの個人的な考えなのですが、この曲の魅力を判断する基準は、私の場合、第一曲「さすらい」にあります。テンポとリズムが心を弾ませるかどうか…。

このCD。この点で、正しく決まってしまったんです。何という快いテンポとリズム!。まあこれは、ピアノ伴奏の素晴らしさによるところも大きいのですが。

全編を通して、瑞々しく溌剌とした歌唱を聴くことができました。満足の一枚で、2度ほど通して聴きました。

私のお気に入りの一枚!。 
プロチュカ~シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」

2007年2月26日月曜日

サビーカスのフラメンコ 「アレグリーアスの変奏」

私は以前からクラシックは大好物なのですが、フラメンコの音楽も大好きです。

好きといっても、これまでそんなに聴いてきたわけではありません。サビーカス、マニタス・デ・プラタ、ニーニョ・リカルド、セラニート…。

その中でも、真っ先に私の心をとらえたのはサビーカスの演奏です。

彼の残した「フラメンコの至芸」というLPレコードの中の「アレグリーアスの変奏」。この曲の後半部分の演奏は、本当に鮮やかで、切れ味が良くて、完璧で素晴らしい。

切れ味が良いといっても、どこかの誰かさんみたいに荒っぽさは全くないのです。

時々私は、このLPのこの曲だけをかけますが、その度に唸ってしまいます。そして、カスタネットを持って踊り出したくなるような心持ちになります。

このLPは2枚目のものなのですが、最初に求めた一枚は、CD化の流れによって処分してしまった経緯があります。

CDがあればことたりると思ったのですが、どうも楽しめません。そこで、このLPを十年ほどずっと探していたのですが簡単には見つかりませんでした。

ところが最近ネットオークションで見つけ、やっと取り戻すことができました。私にとってはそう言う意味でも大切なLPなのです。

サビーカスの素晴らしい演奏、「アレグリーアスの変奏」。

2007年2月25日日曜日

黄金のトランペット~マリオ・デル・モナコ

「君の好きな歌手を3人あげなさい」と言われたら、「そんな殺生な」と言い返したくなりますが、それでも頑張って3人にしぼるとすれば…。「マリオ・デル・モナコ」「ユッシ・ビョルリンク」「フランシスコ・アライサ」となります。

「何という取り合わせ」「どういう基準でそうなるんだ」と思われても仕方がありません。それぞれの個性が好きなんです。

マリオ・デル・モナコ。黄金のトランペットと言われた、テノール歌手ですよね。イタリア歌劇団日本公演では、出演したどの演目も伝説的な名唱を披露して、その名が語り継がれています。実演で体験された方は、さぞや幸せだったでしょうね。

私は、ずっと以前にNHKが特集したイタリア歌劇団公演をテレビで見て、これはVTRにも録画しました。その中で強烈に印象に残っているのは、レオンカヴァルロの「道化師」です。

第1幕の最後の場面、有名な「衣装を付けろ」のアリア。言いようもない怒りと苦悩を独白する、その鬼気迫る歌唱と演技に驚愕し、恥ずかしながら落涙してしまいました。凄い歌手がいたものだな、と…。

LPとしても購入し、CDにも焼き付け、大切な宝物としてレコード棚の大事なところに保管してあります。

マリオ・デル・モナコのあの輝かしいトランペットを聴く度、心が躍ります。

2007年2月24日土曜日

シューベルト 「アルペジョーネ・ソナタ」

シューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」。この曲のメロディーは、本当に美しいですね。少しもの悲しさをたたえた中に品というものがあります。

チェロとピアノの組み合わせが一般的でしょうが、その他ヴィオラとピアノ、フルートとピアノ、またフルートとギターの組み合わせも面白いですね。

私はかつて、実演でフルートとギターの組み合わせによる演奏を聴いたことがあります。優しく奏でるギターの小音量の調べに、寄り添うようにフルートの音色がかぶさり、親和感を漂わせた佳い演奏でした。印象に残っています。

私のお気に入りは、ポール・トルトゥリエのチェロ。品格のある演奏です。ロストロポーヴィチの演奏は、ちょっと大げさすぎて、あまり好きになれませんでした。

この曲はどの楽章も素晴らしいですね。第3楽章のハンガリー舞曲風。この楽章で長調に転じる部分は、とても素晴らしい瞬間で私のお気に入りです。

シューベルト特有のメロディーの飛翔!。

2007年2月23日金曜日

カントルーブ編 「オーヴェルニュの歌」 ダヴラツ


ダヴラツのオーヴェルニュの歌及び民謡集が収録されている2枚のLPレコードを、私は宝物のように大切にしています。

そんな大げさな曲はないし、一つ一つとってみても、内容的・構成的に深みがあるということでもありませんが、本当に好きな曲集と歌唱なんです。

この曲集では、ロス・アンへレス、フレデリカ・フォン・シュターデ等の有名なCDが出ているはずですが、私はやはり、ダヴラツです。この人の声と歌い回しは、何とチャーミングなことでしょう。

オーヴェルニュの歌の方は有名ですが、私は民謡集の方も好きです。「アントワーヌ尼さん」という曲など、かわいらしく無邪気な曲の数々。

ちょっと仕事を頑張りすぎて疲れている時、このLPを聴くと心が清々しく明るくなります。本当に珠玉の作品です。

ダヴラツのオーヴェルニュの歌及び民謡集。私は今後も大切に聴いていくことでしょう。

2007年2月22日木曜日

モーツァルト 「クラリネット協奏曲」 ライスター、群響

モーツァルトのクラリネット協奏曲は素敵ですね。

私のお気に入りは、アルフレート・プリンツのクラリネット、カール・ベーム指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の演奏と、カール・ライスターのクラリネット、豊田耕児指揮群馬交響楽団の演奏です。

プリンツとベームのレコードは、とにかく音が円やかで柔軟な演奏。多少力感に乏しいと感じられるかも知れませんが、それはそれは素晴らしい演奏です。

ライスターと豊田、群馬交響楽団の演奏。ライスターの磨かれたクラリネットの音に必死につけていくかのように群響が奮闘しています。これは、群馬交響楽団の金字塔といってもよいLPレコードではないでしょうか。

何しろ、「あの」ライスターと「おらが」地方オーケストラが共演できた記録なのですから。私はこのようなことが心底嬉しいのです。

演奏の質自体はウィーンフィルに比較するべくもないかも知れませんが、私にはこのオーケストラの懸命の熱演のように感ぜられ、胸をつかれる思いにかられます。

時には群響の苦難の歩みに思いをはせ、こみ上げてくる瞬間もあるのです。私にとって大変貴重なレコードです。

2007年2月21日水曜日

マーラー 「交響曲第9番」 バルビローリ、ベルリンフィル

人生の困難な局面を救ってくれた曲と演奏…。

こんなことを書くと、大げさで恥ずかしく笑われそうですが、私にはそういう曲と演奏が「あった」と断言します。

マーラーの交響曲第9番。ジョン・バルビローリ指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏。

二十数年前の就職したての頃、全く仕事がうまくいかず悶々とした日々を過ごしていました。時には自暴自棄になりかけたことも何度もありました。

そんな状況を受け止め、心を慰めるかのように毎晩かけていたのがバルビローリのマーラー第9だったのです。

一体何度聴いたことでしょう。今レコード棚には同じLPが4枚(2枚組なので、正確には8枚)あります。そのうち2枚は聴きづらくなってしまっています。

この曲には同じベルリンフィルをバーンスタインが指揮した凄演のCDをはじめ名盤揃いですが、私にはこのバルビローリのもので決まりです。

第4楽章の弦楽器の深々としたうねりはただものではありません。私は本当に何度も、この演奏に打たれました。

私の大切なレコード、バルビローリのマーラー第9。

2007年2月20日火曜日

チャイコフスキー 「交響曲第5番」という曲は

チャイコフスキーの「交響曲第5番」。今はほとんど聴く機会を失ってしまいましたが、その昔よく聴いた曲の一つです。

最初に聴いたのは、確か岩城宏之氏がNHK交響楽団を指揮した演奏会で、今から三十年以上前のことだったと思います。

メロディーも綺麗ですが、とにかく「かっこいい」というのが第一印象でした。特に最終楽章。これでもか、これでもかと言わんばかりの曲の盛り上がり方に、私ははまってしまいいっぺんに好きになってしまったのです。

曲調が盛り上がると、岩城氏が目を大きく見開いて汗だくで棒を振っていたのも印象深いことでした。その頃は、N響アワーをよく見たものです。

ところで最近、ムラビンスキー指揮レニングラード交響楽団のスタジオ録音を聴く機会がありました。ドイツグラモフォンのLP盤です。

第1楽章などは、彼の演奏としてはかなりテンポの揺れが激しく、大きな歌い回しも見られ、少し驚きました。はて、こんな演奏をする人だったかな。

かつて親しんだこの曲。徐々に聴く機会も少なくなり、これからどのくらい聴くことがあるのでしょう。