2007年5月6日日曜日

アンドレスセゴビアのギター テデスコの「プラテーロと私」

イタリアの近代作曲家マリオ・カステルヌオーヴォ・テデスコ。私は彼の作品が好きです。

といっても、私は彼の作品はギターに関わる作品しか聴いたことがありません。

ヴァイオリン協奏曲は結構有名で、素晴らしいということなので出来るだけ早いうちにCDを手に入れ、聴いてみたいと思っています。

テデスコの作品の中に、「プラテーロと私」という大変素敵な曲集がありますね。詩の朗読とギターによる作品です。

ギターの巨匠、アンドレス・セゴビアの演奏で、2つのレコードが出ています。レコード棚には両方がありますが、私は特に第1集が気に入っています。

セゴビアの演奏は、賛否両論がありますが、このレコードでの演奏は、本当に素晴らしいと思います。

「子守娘」という曲などは、その歌い回しといい、音色といい、ため息が出るくらいです。この曲集の演奏の中では絶品です。

2007年5月4日金曜日

ジャズでも聴いてみましょうか Ⅲ デイブ・ブルーベックのピアノ

デイブ・ブルーベックの演奏が好きです。彼のLPレコードやCDをぼちぼちと集めています。今までのところ、どれもお気に入りです。

ブルーベックはクラシック音楽と作曲を学んでいるそうですね。演奏には、当然そうした経歴が生きているのだとは思います。

彼の、和音をたたきつけるように積み重ねていくその弾き方は、一部ジャズファンの人たちには受け入れずらいものとなっているのかも知れません。

私は、その弾き方が好きなんです。これでもかと、「ガンガン」弾いていくところが。

私の一番のお気に入りは、「アット・カーネギーホール」というアルバムの中の「天国への銅貨」という曲です。

演奏の推進力、高揚感は素晴らしいと思います。

一時期、この演奏にハマり、何度も何度も繰り返して聴いていた時期がありました。

デイブ・ブルーベック讃!

2007年5月3日木曜日

マーラー 「子供の不思議な角笛」 


シュワルツコップのソプラノ、フィッシャー・ディスカウのバリトン、セル指揮ロンドン交響楽団による、マーラーの子供の不思議な角笛の有名なレコードがありますね。

ここでの両歌手の歌唱は、本当にうまいと言いましょうか、凄いと言いましょうか。とにかく、素晴らしい。!

レコード2面の第1曲「この歌をひねり出したのは誰?」。ここでのディスカウのテクニックは、他の人には到底及ばないような気がしてきます。

第1節と第4節に、同じような装飾唱法が使われる部分があります。

特に第4節の最後、クライマックスとともにオーケストラ伴奏に乗ってクレッシェンドとアチェレランドをかけていくのですが、ここでのディスカウは、自由自在に声をコントロールし、凄みのある表現をしています。

何度聴いても、感嘆し、また興奮させられます。

2007年5月1日火曜日

ジャズでも聴いてみましょうか Ⅱ

ジャズを聴こうとして失敗し、ほとんど自分からは聴こうともせず10年ほどの年月が経ってしまいました。

ある日、仕事が終わった帰宅途中。車の中でFM放送がかかっていて何気なく聴いていると、耳が吸い付けられるような心地よい音楽が流れてきました。

その時曲名は分からなかったのですが、ピアノ・ドラムス・ベースによるトリオ、明らかにジャズの音楽でした。

私は車を止め、曲が終わるとすかさず曲名の紹介をもれなく聞き、すかさずはがみにメモしたのでした。

演奏はオスカー・ピーターソントリオ、曲名は「ユー・ルック・グッド・トゥー・ミー」、「プリーズ・リクエスト」というCDの中の一曲だということが分かったのです。

その日のうちにそのCDを注文したのは言うまでもありません。

これこそ、私がジャズを楽しむことができるようになった、大変恩のあるCD・曲に他なりません。

まだまだ私は、ジャズ音楽のほんの入り口にたどり着いたに過ぎません。

しかし今では、それまでクラシック音楽しか聴かなかった毎日がうそのように、何らかのジャズ音楽を聴くような日々に変わってきました。

これからこの音楽を聴く楽しみが待っているのですよ。!

2007年4月30日月曜日

ジャズでも聴いてみましょうか

ジャズの音楽を楽しめるようになったのは、最近のこの1,2年のことです。それまで私は、なかなかこの音楽に親しむことができませんでした。

聴いてみれば、本当に素晴らしい音楽の世界があったのに。!

随分回り道をしたのだと思い、これまでジャズをあまり聴いてこなかったことが少し残念です。

でも、逆に言うと、あまり聴いていないということは、これから将来この音楽を聴くたくさんの楽しみが待っているということですよね。

これは吉田秀和氏が何かの本の中で言っていることのうけうりになってしまいました。

もう10年ほど前、私も「そろそろジャズも聴いてみよう。楽しもう。」と思い、名盤と言われたマイルス・デイビスとチャールズ・ミンガスのCDを買い、聴いてみたました。曲名等は忘れました。

しかしそれが、私には合わなかったのです。確かに名盤なのでしょうが、当時クラシックに夢中になっていた私にとっては、少しも楽しくないのです。

この最初の出逢いがまずかったのですね。私はそれ以来、ジャズの音楽から遠ざかってしまいました。

それが、ある曲をきっかけに、この音楽への素晴らしい再会を果たすことができたのでした。

2007年4月29日日曜日

マタチッチという指揮者のこと

マタチッチという指揮者を好いています。

この指揮者のことを初めて知ったのは、NHK交響楽団の演奏会のテレビ番組によってでした。何度かN響の客演に訪れていたようですね。

テレビ放映によって、ベートーヴェンの交響曲第7番・第9番、ブルックナーの交響曲第8番、ブラームスの交響曲第1番などの名演を視聴したように記憶しています。

もう既に高齢で、足下も覚束ない様子が見られました。指揮台に上がるのにもコンサートマスターの手をかりなければなりません。

しかし一度指揮台にあがれば、少ない動きではあっても的確な指先の魔法の指示によって、極めて重厚な音楽を作り上げるのでした。

彼は語ったそうです。「私は椅子に座って指揮はできない。100人もいるオーケストラを椅子に座ったままでドライブすることはできない。」と。

何だかこれは、人生における一つの重要な教訓を教えてもらっているような感じですね。本物のプロとしての重みのある言葉だと思います。

職人気質の頑固親爺から発せられるような言葉です。

2007年4月28日土曜日

プーランク 「ピアノ、オーボエとバスーンのための三重奏曲」


プーランクの音楽は好きですね。軽妙洒脱で溌剌としたフレーズの連続。そしてその中に挟まれるリリシズムに溢れた楽想。


ワーグナーやブルックナー、マーラーの音楽を聴いた後プーランクを聴くと、何と気持ちが晴れ晴れとすっきりとすることでしょう。


プーランクの音楽は協奏曲も、室内楽も歌曲もみんな好きです。特に室内楽は、色々な楽器の組み合わせの曲があって、興味が尽きません。


数年前に、ジャック・フェヴリエのピアノにミシェル・デボストのフルート、そしてパリ管楽五重奏団によるプーランクの室内楽曲集というLPレコードをあるところで100円で買いました。


こんな素敵なレコードがたった100円で手に入って、しかもこれが今では私の宝物になっています。


ピアノ、オーボエとバスーンのための三重奏曲は、プーランク自身、非常に気に入っていた曲らしいですね。


両端楽章の音楽は彼特有の軽妙さが最高に生かされた音楽ですが、凄いのはその中に洒落た味わいが隠されていることです。


中間楽章は一転してリリシズムに身をまかせた美しい旋律を聴くことができます。

2007年4月27日金曜日

ハンス・ロット 交響曲

夭折の天才作曲家というと、アリアーガやハンス・ロット、ギョーム・ルクーの名が浮かびます。

どの作曲家も、印象に残る作品があります。

ハンス・ロットは1854年生まれですから、時代でいえばドビュッシーやマーラーの頃の人です。ブルックナーの弟子だったと言いますが、音楽の傾向としてはマーラーと同じでしょうか。

代表作は交響曲ですが、これは22歳の時の作品だそうです。その後彼は約4年ほどしか生きられませんでした。

この曲は、楽章が進むにしたがって演奏時間が長くなるという、ある意味で面白い構成をしていますね。

第4楽章は20分以上もかかる長大なフィナーレです。お気に入りはやはりこの第4楽章です。

巨大なフーガによって音楽がつくられ、最初の主題が堂々とクライマックスを築き上げます。

美しいメロディが次々に現れ、その都度耳が吸い付けられるようです。

2007年4月26日木曜日

シュポアのクラリネット協奏曲集 ライスターのクラリネット

シュポアには、交響曲の他協奏曲、室内楽など佳品があり、時々レコードを聴きます。中でも、クラリネット協奏曲集は、お気に入りです。

レコード棚には、ライスターのクラリネットとブルゴス指揮バイエルン放送響のオーケストラのものがあります。

オルフェオから2枚組で出ていたLPレコードです。今ではCDで再販されているのでしょうか。

ここでのライスターのクラリネットは、音楽性・技巧ともに本当に感心させられますね。磨かれた音色と共に全てのフレーズが淀みなく流れ出てきます。

このレコードは録音も良いので、ついつい手が伸び、しばしば我が家のターンテーブルに乗ります。今では少し雑音が出るようになってしまいました。

しかしこれはLPレコードでなくてはなりません。CDの再生では、柔らかく繊細な音質が出てこないのです。

曲は3楽章構成で大体同じようなお決まりなパターンなのですが、聴いた後の清々しさは他にないものがあります。

ライスター賛!

2007年4月25日水曜日

バッハ 「マタイ受難曲」 ヘフリガーのテノール

バッハのマタイ受難曲を好んで聴くという人はあまりいないと思われますがどうでしょうか。

私もあまり聴いてはいません。実演では2度聴いたことがあります。ライプチヒ・ゲバントハウスの演奏によるものです。

レコード棚には、カール・リヒターの名盤があり、時々聴きます。聴くといっても、内容が内容だけに、このような曲の全曲を何度も聴くわけにはいきません。

お気に入りの部分を聴きます。

私の一番にお気に入りは、曲の番号で言うと第26番、オーボエのソロとテノールを主とする音楽です。「われはわがイエスのもとに目覚めおらん。」と歌います。

この曲の音楽の素晴らしさにも感嘆しますが、何と言ってもヘフリガーの歌唱の見事さ、これは完璧で凄みさえ感じられます。

テクニック的には言うまでもなく、本当に魂のこもった歌い方。!

オーボエの美しいソロとヘフリガーの絶妙なテノール、そして合唱による音楽の交錯。

この部分に、私は何度も打たれました。

2007年4月24日火曜日

モーツァルト フルートとハープの為の協奏曲 ランパル、ラスキーヌのレコード


モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲。

この曲は、モーツァルト二十二歳(1778年)の時、パリを訪れた時に知り合ったド・ギーヌ公爵という人とその娘のために作曲されたのだそうです。

娘の婚礼の場で、フルートの上手な父親とハープの上手な娘が父娘仲良く演奏するために作曲されたものだということです。 娘はモーツァルトの作曲の弟子でした。

まさしく私は結婚式に招待されたその席で、この曲を数度にわたって聴いています。

「典雅しかも優美、ゴージャスでしかも礼儀正しい」…。婚礼の音楽として文句の言いようもなく相応しい曲ですね。

25年も前、1時間かかる通勤の車中で、毎日毎日飽きもせず聴いていた曲がこれです。

ランパルのフルートとラスキーヌのハープの独奏によるエラートのレコードをカセットテープに録音したものを聴いていたのです。

「極上の音楽」がここにあります。

2007年4月23日月曜日

癌から生還して初めて聴いた音楽は… Ⅱ

癌の手術後、はじめて聴いた音楽……。それは、シューベルトのピアノのための三つの小品D946でした。

少し大げさですが、私が生まれ変わって初めての記念すべき曲、それがシューベルトのこの小品だったというわけです。

この美しい作品、特に第二曲を何度も聴き、私は思わず涙をこぼしてしまいました。恥ずかしいことですが。

何という美しい曲なんだろう。!

そして、私は生きて戻れたのだ。!

本当にそう、実感できた瞬間でした。

音楽を聴いて感動するということが、こんなに身にしみて迫ってくることは、この時以上には他になかったように思います。

入院中、その後も、音楽を聴ける時間は、ほとんどこのシューベルトの作品と共に過ごすことになりました。

シューベルトのピアノのための三つ小品D946、第二曲。私の人生の返り咲きと共に咲いた一輪の花。!


演奏は、館野泉さんのCDでした。文句なく、美しく、素晴らしい演奏です。

2007年4月22日日曜日

癌から生還して初めて聴いた音楽は… Ⅰ

私は3年前、胃癌に冒されました。幸いなことに、初期として発見され、胃の2/3と胆嚢を摘出することで、死からは免れたのです。

癌の宣告を受け、入院の段になりました。

生きられる可能性があるとはいえ、この病名を告げられたことで、当然ショックを受けることになったのですが、入院中、音楽は聴きたいと思い、いくつかのCDを病室に持ち込みました。

シューベルトのピアノのための三つの小品、ソナタ。マーラーの交響曲第3番・第9番。ベートーヴェンの交響曲第3番。ジャズで、ブルーベックのアット・カーネギー・ホール。等々。

手術直前は、流石に緊張していたのでしょうか、全く音楽を聴くことがありませんでした。というよりも、あんなに好きな音楽なのですが、「聴く気になれなかった。」というのが、正直なところだったと思います。

そして、手術に成功。私は生きていられたのでした。


手術後、ポータブルCDの中に入れて、私が初めて聴いた音楽は……。

2007年4月21日土曜日

ベートーヴェン 「交響曲第7番」 クーベリック、バイエルン放送響


ベートーヴェンの交響曲第7番のレコードでは、私はクーベリックがバイエルン放送交響楽団を指揮したものを大切に聴いてきました。


冒頭の和音の響きに、一気に引き込まれてしまいます。


他の録音よりも、各楽器の音を多少長めに保たせているせいでしょうか、音に広がりといいましょうか余裕といいましょうか、とにかく大きな堂々たる音楽が現れます。


この冒頭では、他のどんなレコードをもってきても、私の中では、満足できるものはありません。素晴らしいと思います。


その後の音楽の展開も、確固たるテンポをもって、厚みのある揺るぎない音楽が展開されていきます。


最終楽章の表現も素晴らしい。


フルトヴェングラーのように、音楽の表現に即してテンポを遅めたり速めたりする行き方とは違いますが、非常に興奮させられる演奏です。

2007年4月20日金曜日

ドヴォルザーク 「交響曲第8番」 ミュンシュ、ボストン響

ドヴォルザークの交響曲第8番は、私はまず第3楽章が大変気に入り、次いで第4楽章、第2楽章、第1楽章と好きになりました。

第3楽章は、正にメロディーメーカーであるドヴォルザークならではの名旋律で始まりますね。

この楽章自体は、彼のスラブ舞曲に類するもののようにきこえます。

この楽章は、ドラマやイベント等、何かのテーマ曲として使い勝手が良いのではないでしょうか。

第4楽章は、楽しい変奏曲形式です。途中で西洋音楽としては何だか野暮ったいと言いましょうか、どこかの田舎の楽隊か何かが奏するような伴奏に乗って、例の「黄金虫」(に似た)の旋律が出てきます。

音程を下降させながらこの部分が繰り返されますが、音楽の野暮ったさとも相まって、この部分が何ともユーモラスにきこえて私は好きですね。

今はあまり聴かなくなってしまいましたが、聴くとすれば、ミュンシュ指揮ボストン交響楽団の演奏のものです。

豪放で見通しが良く、大変立派な演奏です。

2007年4月19日木曜日

イベール 「ディヴェルティメント」

イベールの音楽に初めて出会ったのは、フルートとギターのための「間奏曲」でした。スペイン風の洒落た佳曲ですね。

フルートやギターをやっている人の中には、この曲を好んでいる人が多いのではないでしょうか。私は、実演で二度、聴いています。

20世紀に入ってからの作曲家ですが、聴きやすい曲が多いですね。

室内オーケストラのための「ディヴェルティメント」は、オーケストレーションが精緻で、洒脱・軽妙で楽しく、私は大変気に入っています。

イントロダクションやワルツ、パレード、フィナーレなど、楽しさの限り。自然に体が動き出しそうです。

このような曲の面白みを出すのは、結構難しいのではないでしょうか。

軽やかな曲想が多いのですがその筆致は精緻にできていますね。クラシックばかりに凝り固まったオーケストラ奏者や指揮者には、なかなかうまい表現はできないような気がしています。

愛聴盤は、マルティノンのデッカ盤です。録音も大変よく気に入っています。

何年か前に聴いた、高関健さん指揮群馬交響楽団の定期演奏会での生き生きとした演奏も忘れられません。

2007年4月18日水曜日

ケンペ、ミュンヘンフィルによるブラームスの交響曲第1番


ケンペ指揮ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団によるブラームスの交響曲全4曲のレコードは、名盤の一組に数えられていますね。

交響曲第1番の演奏を私は大変気に入っています。

本当に力みが全くなく、自然で柔らかな、それでいて確固たる歩みを持った演奏。第4番の演奏などとは、方向が大分異なるような気がして、「これはどうしたことかな」と少し首を傾げてしまいます。

といっても、悪い意味ではなく、異なることに面白みがあるということにおいて。

私は、ミュンシュの豪快な演奏も、バルビローリのねっとりとした演奏も、フルトヴェングラーの……。

とにかくどの指揮者の演奏も好きなのですが、中でも一番のお気に入りは、このケンペ、ミュンヘンフィルの演奏なのです。

冒頭の音の出方で私はいっぺんに痺れてしまいました。何という柔らかな、やさしいブラームスなのでしょう。

このようなブラームス演奏は、もっともっとあってよいでしょう。ただでさえ彼の音楽は暗く重々しくなりがちなのですから。

2007年4月17日火曜日

プライのシューマン 歌曲集「詩人の恋」

シューマンの歌曲集「詩人の恋」を初めて聴いたのは、30年以上も前、ヘルマン・プライが何かのコンサートで歌ったものでした。

HHKFMの海外のコンサートの番組だったと思います。その頃は、音楽はもっぱらFM放送を聴いていて、気に入った音楽をせっせとカセットテープに録音して残していました。

昔のテープがいくつも残っていますが、いまだに時々聴いているものもありますが、ほとんどは聴けなくなってしまったり処分してしまったりしています。

所謂「ラジカセ」で聴いていた時代です。多くの人が同じ道をたどっているのではないでしょうか。大変懐かしく思います。

さて、このプライの詩人の恋は、第1曲の「美しき五月に」の途中から録音が始まっています。多分、当時このコンサートに気付き、慌てて録音をしたのだと思います。当時のことを思い出します。

プライの歌唱は、まだまだ若々しく、この曲集の雰囲気に相応しい歌い口が伝わってきました。

第7曲の我は恨まじ(Ich grolle nicht)」。私はこの曲が大好きなのでした。プライは、愛は失われても恋人は恨みたくないという気持ちと、その心の葛藤を見事に表現しています。

2007年4月16日月曜日

エルガー 「チェロ協奏曲」 デュ・プレ、バルビローリ


天才女流チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの生涯を描いた映画「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」は音楽ファンのみならず映画ファンに衝撃を与えましたね。


この映画の内容には触れません。


エルガーのチェロ協奏曲は、この映画で流れていた音楽です。


この曲の名演奏は多いようですが、どうしてもジャクリーヌ・デュ・プレと結びつけて考える人が多いのではないでしょうか。


少し甘い憂鬱、ほのかな哀愁を漂わせた佳曲として、私の愛聴曲となっています。私のレコード棚には、デュ・プレのレコードがあります。バルビローリの指揮のものです。


まぁ本当に素晴らしい名演です。何とこれは、20歳の時の録音だそうです。私が20歳の時は何をしていたでしょう。比較すると、恥ずかしくなってしまいますね。


オーケストラのトゥッテをも越えようとばかりにバリバリと弾き切るフォルテシモ、心を込めて哀愁を描いた第3楽章の表現…。聴くべきところが随所に登場してきます。


このレコードは、デュ・プレの演奏を聴くためのレコードです。

2007年4月15日日曜日

アレンスキー 「ピアノ三重奏曲第1番」 ボロディントリオ

アレンスキーの名は、チャイコフスキーや所謂五人組の次に続く「第2世代」として、あまり注目されずにきたのでしょうか。

しかしその音楽は、ロマンティシズムをたたえ、心地よく聴き手に迫ってきます。

彼の作品32,ピアノ三重奏曲第1番を時々聴きます。

第1楽章の冒頭。ヴァイオリンとチェロが絡み合い交錯するメロディーは、本当にむせ返るような非常に濃いロマンティシズムが現出します。チャイコフスキーの影響を受けているのでしょうね。

どの楽章も、メロディーの宝庫です。

第4楽章では、第3楽章で描いたエレジーの行方を払いのけようかというように、音楽は力強く始まります。

で、その次に出てくるのは、またもや美しいメロディーたちです。終末には第1楽章のメロディーが懐かしくも回想され曲を閉じます。

ボロディントリオのCDを時々取り出します。

2007年4月14日土曜日

ブルックナー 「交響曲第1番」 ヨッフム、ベルリンフィル

ブルックナーの交響曲第1番を久しぶりにヨッフム指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏で聴きました。グラモフォンの廉価盤LPです。

この交響曲は、ベートーヴェンの確固とした構成、シューベルトの抒情的なメロディー、ワーグナーの壮大さと動機の活用など、先人達の功績を融合し敷衍したような作品となっています。

これまでのお勉強の成果を、いよいよ世に問うたということでしょうか。

40歳を過ぎてからの第1交響曲であり、他の交響曲作曲家に比べれば、決して早く作曲されたとは言えません。

しかし、きこえてくる音楽は、瑞々しく、美しく、そして力のこもったものとして、若々しさを感じさせる素晴らしいものですね。

私にとっては、非常に勇気づけられる音楽です。

このレコードでは特に第1楽章の終末部。大きくクライマックスを築きしめくくるのですが、ここでのヨッフムの指揮は、凄まじい突進力を見せます。

クレッシェンドとともにアチェレランドをかけ、聴き手を興奮させます。

ここに、ブルックナーを素材にしたヨッフムの、大きな意志力といったものを強く感じるのです。素晴らしい!。

2007年4月13日金曜日

モーツァルト 「クラリネット五重奏曲」 プリンツのクラリネット

モーツァルトのクラリネット五重奏曲は、ただただ美しく、聴く者の心を深く包み込むような音楽です。

私にとっては、モーツァルトの作品の中でも、最も好きな楽曲の一つになっています。

本当に素晴らしく、交響曲や協奏曲のような派手さ華やかさはないかも知れませんが、身に沁み、心に沁み入る天上の音楽です。

どの楽章も、音を選びに選び抜き、無駄をなくし、本当に必要なものだけを残して音にしたような音楽作りになっているような印象です。

第4楽章の変奏曲を毎日のように聴いていた時期がありました。とりたてて独特な作曲上の工夫がみられるわけではありませんが、無邪気なテーマが素晴らしい変奏に変わっていきます。

以前は、ライスターとベルリンフィルのメンバーによるLPをよく聴いていましたが、今はプリンツとウィーンフィルのメンバーのCDです。音、音楽はウィーンそのもの。

正に正攻法に徹した演奏で、純粋に音楽を楽しむことができるCDです。長く聴き続けていくことでしょう。

2007年4月12日木曜日

ブラームス 「弦楽六重奏曲」 アマデウス弦楽四重奏団他


ブラームスの弦楽六重奏曲第1番は、かつての愛聴曲でした。
今はほとんど聴かなくなってしまいました。

先日、この曲の第2楽章をギター二重奏による演奏で聴き、懐かしみながらあらためて良い曲だと思い返しました。

ギターはイギリスの名手二人、ジュリアン・ブリームとジョン・ウィリアムスです。素晴らしい音楽表現でした。

この第2楽章は、確固とした変奏曲形式で構成されていますね。

さて、この曲は、ブラームス24歳の時の作品だそうです。この年齢からして、何とも枯れているような印象ですね。

メロディーの素晴らしさは言うまでもないことですが、この若さでこれほど重く枯れた音楽をかいたブラームスという人は、「一体どういう人なのでしょう?」と、思わず首をかしげてしまいそうです。

以前聴いていたのは、アマデウス弦楽四重奏団にヴィオラのアロノヴィッツ、チェロのプリースを加えた盤です。ブラームス作品のほの暗さに正にぴったりと合った演奏で、好きでした。

2007年4月11日水曜日

ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第1番

ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番は、大変面白く聴ける曲ですね。

抱腹絶倒の協奏曲とでも言いましょうか。私はこの曲は、草津音楽フェスティバルで、実演で聴いてからすっかり好きになってしまいました。

編成からしてユニークで、独奏ピアノと弦楽合奏に独奏トランペットが加わるというものですよね。

ピアノとトランペットの掛け合いが何ともスリリングで楽しいのですが、こんな編成を考えつくのはショスタコーヴィチぐらいのものでしょうか。

第4楽章は、ショスタコーヴィチがやりたい放題のことを音で表現したとでもいいたくなるほど、ある意味で凄い曲に仕上がっています。

この曲は何かを皮肉っているとか、諧謔性の裏に意味があるとか、そういうことはよく分かりません。

私は純粋に、このお祭り騒ぎ、「パッパラパー」のこの曲この楽章を、いつも笑いをこらえながら聴いているのです。

2007年4月10日火曜日

ショーソン 「交響曲変ロ長調」 フルネと群響の演奏

ショーソンの作品はあまり多くありませんが、その一つ一つの作品にはまってしまう人は結構いるのではないでしょうか。

交響曲にしても、詩曲(ポエム)にしても、ピアノ・ヴァイオリンと弦楽四重奏のための協奏曲にしても、皆独特の魅力にとんだ作品ですよね。

交響曲は、実演で一度聴いたことがありました。ジャン・フルネさん指揮の群馬交響楽団の定期演奏会での演奏です。

それは大変素晴らしい出来事として、私の脳裏に焼き付いています。

群馬交響楽団が、敬愛するフルネさんの指揮棒を信じ、一心に音を出している様までもが伝わってきて、大変感動的な演奏会だったように記憶しています。

作品自体は、メロディーが大変美しく、詩的な雰囲気を漂わせた音楽ですね。循環形式を用いているとのことですが、私の意識はあまりそのことには向かわず、もっぱらメロディーの美しさや雰囲気に気持ちが浚われました。

あの時の演奏では、第3楽章で第1楽章の主題が回想され、若干の盛り上がりの後オーケストラのトゥッテが現れますが、その時のフルネの響かせ方が何とも素晴らしく、耳に残ります。

2007年4月9日月曜日

マニャール 「交響曲第4番」 プラッソン、トゥールーズ・カピタル国立O


フランスの交響曲作曲家といって、誰を思い浮かべるでしょう。

マニャールは、そのフランスの交響曲作曲家といってよいでしょうか。4つの作品を残していますからね。

1865年生まれですから、年代から言えば、クロード・ドビュッシーとほぼ同じなのですね。音楽の響きはまるで違いますが。

マニャールの交響曲はどれもが魅力的ですが、私は特に第4番がお気に入りです。

響きとしては、ブラームスやマーラー、ワーグナーあたりが混じったような感じにきこえます。分厚い響きあり、美しいメロディーあり、劇的な音楽の進行…。

第1楽章に少し神秘的で美しいメロディーがいくつか出てきますが、大変に魅力的です。耳が自然と張り付いていきます。

プラッソンとトゥールーズ・カピタル国立Oのレコードをよく聴いています。これはデジタル録音ですが音もよく気に入っています。

2007年4月8日日曜日

モーツァルト 「ピアノ協奏曲第22番」 バレンボイムのピアノと指揮

モーツァルトのピアノ協奏曲は、そのどれもが魅力に溢れていて、「好きな曲を一曲あげてごらん」などと言われても困ってしまいますね。

22番のバレンボイムの演奏を取り上げましょう。これは彼がオーケストラを指揮しながら弾いた演奏ですね。

この演奏のことを知ったのは、宇野功芳氏のクラシック音楽の名盤を紹介した本によってでした。

詳しくは忘れてしまいましたが、そこには、この演奏が変幻自在の演奏であり、一瞬一瞬が絶妙のニュアンスで奏されている極めつけの名盤であるというようなことが書かれていました。

私はこのレコードは、仙台レコードライブラリーという初期盤を扱うレコード店から手に入れました。これがまた、幸いしました。

その高音質とも相まって、宇野氏の言葉通り、素晴らしい演奏にいっぺんにこのレコードが好きになってしまったのです。

冒頭の分厚いオーケストラの響き。まずは、ここで耳が一挙に奪われてしまいます。

それに続くピアノ演奏がまた、フレーズごとにニュアンスが変化する、宇野氏言うところの正に変幻自在の表現です。

どのフレーズも、きちんとした意味を持って聴き手に迫ってくる。単に音が出ているだけのフレーズは一つもありません。

「一つ一つのフレーズに息が吹き込まれ、それが有機的に絡まっていて、音楽全体が生き物のように蠢いている…」などと勝手に表現してみました。

音楽を聴く楽しみが、一瞬一瞬に現れて、時間を忘れてしまうレコードです。

2007年4月7日土曜日

シューベルト 歌曲集「冬の旅」 エルスナー(T)と弦楽四重奏による伴奏

シューベルトの歌曲集「冬の旅」は、本当に魅力的な曲集ですが、気軽に聴く気にはなれない時があるものです。

でもやはり、素晴らしいですね。この曲集は。

ツェンダー編曲、テノールのプレガルディエンの演奏のCDは以前から話題になっていて、私もすぐに買い求め、聴いてその音楽世界に驚きました。

この曲集には、オリジナルのピアノ伴奏のほか、ツェンダー編のオーケストラによる伴奏や、ギターによる伴奏、弦楽四重奏による伴奏のCDがあるようです。

その他にもあるのでしょうか。

さて、テノールのエルスナーとヘンシェル弦楽四重奏団の演奏によるCD。これは以前に買っておいたものですが、大変面白く聴きました。

ピアノと違い弦楽器は音を長く保つことができます。そのことによって、細やかな繊細な表現を可能にしているように思いました。

オリジナルでは、ピアノのあの、「ポツポツ」とした響きが、この曲集の表現内容と見事にあっているように思っているのですが。

エルスナーは、美声を生かして、これまた繊細に丁寧に歌い込んでいきます。大変誠実な歌いぶりに好感を覚えました。

時々取り出しては聴いてみたいCDの一つになりそうです。

2007年4月6日金曜日

シューベルト寂寞の音楽 「ピアノ三重奏曲第2番」

シューベルトは、「私は楽しい音楽というものを聴いたことがない。」と、常々語っていたそうです。

彼の音楽は、美しく親しみに溢れてはいますが、聴いているうちに、寂寞感を伴ってあてどもない孤独な世界へと、いつの間にか連れていかれてしまうことがあります。

ピアノ三重奏曲は、そのようなことを実感するに足る音楽です。

どちらも素晴らしいのですが、最近は第2番の方をよく聴きます。

第2楽章は、この曲の白眉です。シューベルトの室内楽作品の内でも、最高の傑作と言えるのではないでしょうか。

この楽章が表現している世界は、シューベルトの心の内を語っているものなのでしょうか。

言いしれぬ孤独感と絶望感が、ひたひたと忍び寄ってくるような音楽内容です。冬の旅に共通するものがあるように思えます。

第3楽章。力強いスケルツァンドの音楽が続くと思ったとたん、突然、PPで淋しげな一節が割り込んできます。寂寞の思いに引き戻されるような…。

私はこの曲は、エテルナのベートーヴェントリオの演奏でよく聴きます。

2007年4月5日木曜日

ハイドン 「弦楽四重奏曲第35番 ヘ短調」 東京クヮルテット


日本が世界に誇れる音楽家というのは、今ではどのくらいいるのでしょう。最近の演奏家事情にはとんと疎いので分かりませんが、たくさんいるのでしょうね。

日本人として、大変に誇らしいというか、嬉しいというか、本当に素晴らしいことだと思っています。

東京クヮルテットも、もう昔から、そんな世界に誇れる音楽家の一つの団体として活躍してきましたね。詳しくはあまり知りませんが。

レコード棚には、東京クヮルテットが吹き込んだハイドンの弦楽四重奏曲のレコードがあります。第34番及び35番です。

これは1979年の録音といいますから、何と30年も前のレコードなのですね。

私は第35番の演奏を好んで、聴いてきました。東京クヮルテットの、正につぼにはまったリズムとテンポの演奏。

第1楽章の冒頭から、彼らの躍動する音楽がきこえてきます。憂いを帯びた調子で音楽は始まり、伸び伸びとした4つの弦楽器のフレーズが耳に入ってきます。

第3楽章はシチリアーノ風の楽想ですが、私はこの音楽がとても好きです。ここでは、第1ヴァイオリンがオブリガート風にからんできますが、ここはため息が出るほど素晴らしい。

長く聴いていくレコードの一つです。

2007年4月4日水曜日

リムスキー=コルサコフ 「交響組曲 シェエラザード」

リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」は、正に音の絵巻物というに相応しい音楽ですね。

私が高校時代、音楽の教師がこの曲の有名なメロディー、シェエラザードを表すテーマを鼻歌のようにいつも口ずさんでいたことを思い出しました。

彼は、よっぽどこの音楽が好きだったのですね。

それにしても、この曲の素晴らしさは、またなんと言ったら良いでしょう。

まるで目の前に現れるような音による情景描写。豪華絢爛たるオーケストレーション。同一主題の巧みな変奏と用法。……。

どれをとっても、見事というしか言葉が見つかりません。音楽の冒頭部分から、アラビアンナイトの不思議な世界に誘われるようです。

久しぶりに、また聴いてみましょう。

レコード棚にあるのは、コンドラシンの盤とロストロポーヴィチの盤です。どちらを聴きましょう。どっちも聴くことにしましょう。

2007年4月3日火曜日

ロッシーニ 「チェロとコントラバスのための二重奏曲」

ロッシーニのチェロとコントラバスのための二重奏曲を初めて聴いたのは、10年ほど前の草津音楽フェスティバルでの室内楽のコンサートでした。

かつて私は、地元であったこともあり、草津音楽フェスティバルに毎日繁く通っていた時期がありました。

1998年のフェスティバルでは、「ベートーヴェンの時代」がテーマとして掲げられ、ベートーヴェンと同時代の作曲家の作品も含め、魅力的な作品の数々が毎日奏されていました。

この年は、都合17日間のコンサートのうち、私は9回通っています。

チェロとコントラバスのための二重奏曲は、5日目の室内楽コンサートの演目にあげられ、チェロ:マルティン・オスタータークさん、コントラバス:長島義男さんによって演奏されました。

ロッシーニらしい流麗で楽しく、伸び伸びとしたメロディーが次々の紡ぎ出されていきます。第3楽章には、例のロッシーニ・クレッシェンドの妙。

息のあった二人のデュオは、完璧に私の耳をノックアウトしてしまいました。素晴らしい!絶妙なメロディーの歌わせ方と、そしてまた、第3楽章の超絶技巧。楽しい、楽しい一時でした。

家にあり、時々聴くのは、草津音楽フェスティバルの名解説で既にお馴染みの井坂紘氏がプロデュースしたレコード、イエルク・バウマンのチェロとクラウス・シュトールのコントラバスによる二重奏です。

これも素晴らしい!

2007年4月2日月曜日

ヘンデル 「フルートソナタ集」 ランパル、ラクロワ

ヘンデルの音楽は、楽天的で、気軽に肩の力を抜いて聴けるような気がします。

同じ時代の大作曲家でも、バッハの音楽を聴く時とは随分違います。

ちょっと鬱陶しい出来事があった時など、ヘンデルの音楽を聴くと、自然と心が和んできます。ちょうど良い清涼剤のように効きます。

私はヘンデルの音楽には、フルートソナタから入りました。20年以上前に買ったLPを未だに聴くことがありますが、それがランパルのフルート、ラクロワのチェンバロによる演奏です。

非常に明るく伸びやかで開放的、それでいて、少し憂いのある洒落た演奏。私は十分に楽しみました。

ランパルの奏する装飾音は、これはどうもフランス的というのでしょうか。私好みのものですが、フルートの専門家の方々はこのやり方をどう評価しているのでしょう。

2007年4月1日日曜日

ベートーヴェン 「弦楽四重奏曲第10番 ハープ」

ベートーヴェンの中期の弦楽四重奏曲の中では、最も聴く機会が多いのは、第10番のハープです。その他の作品のどれも傑作で素晴らしく、それぞれに凄みを感じる作品群ですがね。

この曲の聴き所はやはり、第1楽章のハープの命名のもとになった、ピチカートで奏される部分でしょうか。第1主題の後に、それぞれの楽器に受け継がれながら登場してきますね。

ピチカートも特徴的で興味深く感じられるのですが、私はこの曲全体に現れる流麗でしかも緊密感のあるメロディーやフレーズに耳を奪われます。

そうなると、もう、第1楽章のことだけを書くわけにいかなくなってしまいます。どの楽章も凄くて…。

第1楽章では、特に私は、コーダの最後の部分に感嘆してしまいます。

例のハープの音型が示され、同じ音型が繰り返されながら徐々に音楽が盛り上がっていく部分です。
流麗かつ華やかな音楽が迸り出て行きます。

この部分を聴くと、何だか、生きていることの喜び、生きる希望や勇気といった精神的なものを与えてくれるような気持ちになります。

ブダペスト四重奏団のレコードが決定版と言われるくらい有名で、私も持っていたのですが、今はありません。

多分私の耳が悪かったり、装置が悪かったりするのが原因ですが、音が「ぎすぎす」しているように感じられてしまうのです。何度も聴いてみたのですが、結局ダメでした。

ベートーヴェン演奏では、一部受け入れられていないようですが、今はアルバン・ベルク四重奏団の流麗な演奏のLPを聴いています。

2007年3月31日土曜日

ベートーヴェン 「交響曲第2番」 セル指揮クリーヴランド管弦楽団


私がまだステレオ装置など持っていない頃、音楽が聴ける主な媒体はラジオ放送でした。FM放送はクラシックの番組を始終流していました。

今はラジオでの音楽をほとんど聴かなくなってしまいました。その頃は、レコードのコマーシャルも頻繁に放送されていました。

当時を思い起こすと、確か「ジョージ・セル、クリーヴランド管弦楽団」「ゲオルグ・ショルティ、シカゴ交響楽団」などの名前が毎日繰り返されていました。
コマーシャルを聞く度に、「件のレコードを聴いてみたいものだ」と、いつも心が騒ぐのでした。
セル指揮クリーヴランド管弦楽団による、ベートーヴェンの交響曲のコマーシャルは、一時期毎日のようにあったように記憶しています。
当時私は、真っ先に交響曲第1番と2番の入ったレコードを買ったのでした。聴いてみると…。これは何とスポーティーで、鮮やかな、目の覚めるような演奏だろうと、感嘆しました。
よく表現される言葉でいうと、「まるで、贅肉をそぎ落としたような…」特に第2番の演奏に痺れました。
第1楽章で、序奏から第一主題にかけての部分など、もうこれ以上の音楽表現があるのだろうかというぐらいの、鮮やかな音の進行があります。

第1楽章の演奏は、どうしてもセルの音楽が耳から離れません。今朝、久しぶりにセルの第2番を堪能しました。

2007年3月30日金曜日

モーツァルト 「魔笛」 ベーム、ベルリンフィルの盤

モーツァルトのオペラ「魔笛」のレコードには名盤と言われるものが数多くありますが、私にとってはベーム指揮ベルリンフィルの盤が手放せません。

ヴンダーリッヒのテノールに痺れるのは言うまでもないことですが、私には、それ以上に、このレコードでは女性陣の歌唱が何とも魅力的にきこえてくるのです。

レコードの第1面、三人の侍女の三重唱から、既に耳が釘付けになってしまいます。アンサンブルの見事さは言うまでもなく、ここではハーモニーが何と綺麗に浮き立ってきこえるのでしょう。

柔らかい声の質とともに、透き通っていて、清冽で、絶妙なバランスのハーモニー。

吉田秀和氏が音楽に関わる何かの本の中で、「歯にしみてくるような和音?」とか何とかというような表現を使われているのを読んだことがありますが、正にその言葉を使わせていただきたい三重唱なのです。

レコードの第2面では、私にとっては、このレコードの一番の聴きどころが現れます。第6場で歌われる、夜の女王のレチタティーヴォとアリアです。

最後の方に、「als Sieger sehen,So sei sei…」と歌われる、音が行ったり来たりする大変な難所の部分がありますが、もうここは人間の声を聴いているのではなくて、オーボエの技巧を聴いているような錯覚さえ覚えます。

歌っているのは、ロバータ・ピータースという人です。私はこの人のことはあまり知りません。しかし、本当に素晴らしい。

邪道な聴き方しかできませんが、私はこれで満足しているのです。

2007年3月29日木曜日

ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」 ストコフスキー編曲、指揮

ムソルグスキーのピアノ組曲「展覧会の絵」は、その独特の音楽の内容や表現技法に耳を奪われ、本当に凄い作品だと思っています。

この曲は好きで、ピアノのためのオリジナルや、オーケストラ、ギター、吹奏楽、シンセサイザー等々、色々な編曲物も聴きます。

オーケストラへの編曲物は、大変な数があるそうですね。有名なところでは、ラヴェル編・ストコフスキー編・アシュケナージ編・ゴルチャコフ編・カイエ編といったところがあげられるでしょうか。

ストコフスキー編曲の「展覧会の絵」を、久しぶりにレコード棚から出して聴いてみました。これは、ロンドン交響楽団の演奏ですね。

どうしても有名なラヴェル編と比べてしまうのですが、この編曲・演奏は、全体的にダイナミックスやリズムその他音楽表現に大きな幅があり、ラベル編より重厚で派手な印象が強く残ります。

ラヴェルとストコフスキーの民族性の違いを、正に浮き彫りにしているような感じです。

「ブィドロ」は、かなり速いテンポの演奏で、肩すかしを食わされます。牛にひかせた荷車の行進からすると、何だか軽々しい印象を受けます。

それにしても、この編曲・演奏もまた面白く聴けました。

2007年3月28日水曜日

シューベルト 歌曲「水面に歌う」 アメリンク

シューベルトの歌曲「水面に歌う」…この曲を聴くと、「シューベルトという人は、まさにメロディーを作る天才だったのだな」と改めて思います。

情緒豊かな、美しい曲ですね。伴奏ピアノがまた素晴らしく、彼の即興曲などの音楽を思い起こさせます。

これはまさに、歌とピアノの両方を楽しめる、お気に入りの一曲です。

曲は、水が流れていくようにピアノの流麗なメロディーで始まります。そして、「Mitten im Schimmer der spiegelnden Wellen」とドイツ語が語りかけてきます。

この絶妙なピアノと歌唱の重なりの部分を聴く度に切なくなってしまいます。

ずっと以前に、私はこの曲をギター伴奏によるバリトン独唱で聴いたことがあります。バリトンにギターは伴奏としてやや荷が重いという感じがしました。

しかし、ギターが泣いているような音を奏で、曲の雰囲気をよく出していたように思いました。

エリー・アメリンクのレコードをよく聴いていました。この曲だったら、色々なたくさんの声楽家のレコードを聴いてみたくなります。

2007年3月27日火曜日

モーツァルト 「管楽器とオーケストラのための協奏交響曲」

モーツァルトの作品に協奏交響曲といわれるものが、2曲あります。どちらも好きですが、私は管楽器とオーケストラのための作品の方を聴くことの方が多いですね。

この作品は、モーツァルトのものかどうか真偽は分からないと言われていますが、そのことについては専門家に任せるとして、とにかく本当に素晴らしい曲だと思います。

数年前、東京のオーケストラでこの曲の実演を聴いたことがありました。第1楽章の冒頭、弦楽器を主体とした主題が奏された時、恥ずかしながら私の目には涙がうかんだのでした。

端的に言って、耳に入ってくるその流麗なメロディーに感動したのです。

レコード棚には、ベーム指揮ベルリンフィルのレコードと、スウィトナー指揮ドレスデンシュターツカペレのレコードがありますが、私はもっぱらベーム盤を聴いています。

第3楽章をよく聴いています。変奏曲形式ですが、その主題からして本当に洒脱で楽しい曲相になっています。

フィナーレのフェルマータの付近、ベームの指揮はどんどんアチェレランドしていきます。管楽器奏者達もついて行きます。

スタジオ録音でのベームはこんなことをするんだっけ?と興味深く聴きます。

この部分が何とも私は好きなのです。楽譜はどうなっているかは分かりませんが、これこそ音楽表現の必然と思い、思わず唸ります。素晴らしい! 

2007年3月26日月曜日

ギター伴奏による「美しき水車小屋の娘」 シュライヤー、ラゴスニック


ペーター・シュライヤーがギターのコンラート・ラゴスニックと組んで、シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」を最初に歌ったのは、もう30年ほど前のことでしょうか。

私は、FM放送によるザルツブルグ音楽祭での彼らの演奏を聴きました。

レコード棚の片隅に、当時放送を録音した、古ぼけたカセットテープが残されています。今では、テープ自体がもうワカメのようになっていて、ほとんど聴くことができません。

前後して、シュライヤーとラゴスニックの演奏は、テレビ番組でも放映されました。

映像では、ステージに向かってギターが左側へ配置され、シュライヤーが右側に位置取り、テープルを前にして、歌われていきました。

物語を語りかけるような、親密感を感じられる演出がなされていました。

この大好きな歌曲集。私には非常に新鮮に感じられ、興味を持って映像に見入り、音楽を聴きました。
これもVTRに残し、当時何度も見たことを覚えています。

その後LPレコードでも出ましたね。私は最近また同じ盤を手に入れ、以前に購入した物を合わせて同じものを3枚所有しています。

シューベルトが生きていた当時を再現して演奏しようとしたということが一つの目的だと思いますが、私にとっては、素晴らしい音楽の贈り物となっています。

2007年3月25日日曜日

グラズノフ バレエ音楽「四季」

グラズノフの音楽では、バレエ音楽「ライモンダ」とともに時々聴くのが同じくバレエ音楽の「四季」です。

グラズノフの「四季」は、冬から始まりますね。それから春、夏と進み、最後は秋で締めくくられています。 

これは農事暦のようなことになっていて、秋の収穫祭(酒神祭)が最後に来ているのですね。

この曲はバレエ音楽なので、言うまでもなく踊りがついています。 人間は登場しません。霜や氷、そよ風、麦穂などの自然現象や自然物が登場します。

風景や自然現象を一枚の絵画のように、音によって描写しています。

メロディーは大変に親しみやすく、また、それ以上にまるで絵画を見ているようで、雰囲気のある素晴らしい曲ですね。

私が所有しているレコードは、ハイキン指揮モスクワ放送交響楽団のものですが、切れが良く、ダイナミックで素晴らしい演奏です。特に私は「春」がお気に入りです。

2007年3月24日土曜日

フォーレ 歌曲集 アメリンク、スゼー

私には宝物のように大切にしているレコードがいくつかあります。アメリンクとスゼーが歌ったフォーレの歌曲集の5枚組のレコードもその一つです。

これは、東芝エンジェルから出ていたものですね。

一枚目の第一曲目。アメリンクの歌う「蝶と花」を聴いた時、いっぺんに気に入ってしまいました。まぁ、何と可憐な曲と歌唱だろう…。

かわいらしく、透きとおっていて、そして躍動感のある歌い回し。

スゼーの矍鑠とした、堂々たる、それでいて洒落た歌唱も見事と言うほかありません。私は彼のシューベルトはあまり聴きませんが、やはりフォーレは素晴らしいと改めて感じました。

素晴らしいのは、アメリンクとスゼーの歌唱だけではありません。ピアノ伴奏のボールドゥインの演奏がまた素敵です。

1枚目でかなり楽しんでいるのに、このレコードは5枚組なのです。5倍も楽しみがあるのです。

レコードを聴くことは、何と楽しくて、嬉しくて、贅沢で、素晴らしいことなんでしょう!。

2007年3月23日金曜日

ベートーヴェンの第九・第3楽章と卒業式

先日、中学校の卒業式に行ってきました。ある関係で、その卒業式に参加することになったのです。

数十年前、同じように卒業証書をいただいたことを思い出して、少し感傷的な思いにかられました。

卒業証書の授与の場面。耳に届いてくるのは、ベートーヴェンの第九交響曲の第3楽章でした。このような場面で、この曲が使われていたのですね。

とても、感動しました。

どのような理由で卒業式にベートーヴェンの第九の第3楽章を使うようになったかは知るよしもありません。

ただ、この曲を選んだ人が、「卒業式には第九の第3楽章が合うに違いない」と考えて流したのなら、私は拍手を送りたいと思います。

清らかで、美しく、そして時には思索的な調べ。卒業証書授与と見事にマッチした瞬間でした。

この曲によって、何だか大変知的な匂いのする、感動的な卒業式だったような気がします。

2007年3月22日木曜日

メンデルスゾーン 「交響曲第4番 イタリア」

中学校時代、どこの学校でもある給食時間でのお昼の放送で、クラシック音楽が週に2~3度かかっていました。

題名が分からない曲がほとんどでしたが、私は結構楽しんでいた方ですね。

そのお昼の放送で、ある時、メンデルスゾーンの「交響曲第4番、イタリア」がかかり、その弾むようなリズムの躍動感に痺れました。

同じ曜日に必ず一度この音楽がかかっていました。気になっていたので、放送部の生徒に題名を聞きにいきました。

その生徒が調べてくれ、私が気に入った曲は、そこで初めてメンデルスゾーン作曲「交響曲第4番、イタリア」ということが分かったのです。

音楽は終始細かに揺れ動き、明るさとほの暗さが交差して、不思議な情感を醸し出しています。最近はほとんど聴きませんが、以前はカセットテープに吹き込み、よく聴いていた時期がありました。

よく聴いていたレコードは、アバド指揮ロンドン交響楽団のものとクレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団のものです。

グノー 「小交響曲」

グノーの作品の中で、かわいらしく素敵な交響曲がありますね。「小交響曲」です。

私は木管楽器のアンサンブルは好きなので、この曲も時々取り出しては聴いています。

フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットによる九重奏で、全曲通しても20分程度です。

昨年初めてこの曲を実演で聴きました。実演では、各楽器同士の音の繋がりやハーモニー、ダイナミックスなどがよくきこえてきて、楽しいですね。

曲は、モーツァルトのセレナードを思い起こさせます。

明るく華やかで、楽しい雰囲気に満ちあふれています。

音楽の内容がどうのこうの、精神性がどうのこうの…、というよりも、気楽に、無邪気に、音楽を楽しむという気持ちを持たせてくれるような曲ですね。

2007年3月21日水曜日

ダンディ 「フランス山人の歌による交響曲」 


ミュンシュ指揮、ボストン交響楽団のLP、ダンディの「フランス山人の歌による交響曲」を久々に聴きました。

しばらくレコード棚に眠らせてしまいました。そんなレコードが何枚もあり、勿体ないといつも思っています。もっともっと楽しまなければ。

さて、このレコード。冒頭のコールアングレの主題が懐かしさをともなって響きました。明るく人なつこいようなメロディーです。

フランスの何とかという地方の民謡を素材に作曲したということですが、何だか山の麓に住む人々の暮らしを、音で表現したような印象を与えます。

曲は、フランクの影響を受け循環形式によって構成されていますね。ピアノ協奏曲のような感じです。

久々に聴いたこのレコードは、廉価盤にしては比較的音も良く、ミュンシュの音楽表現も明るく伸びやかで雄大なスケールに満ち、楽しむことができました。

2007年3月20日火曜日

フランク 「ヴァイオリンソナタ」 ティボー・コルトー

フランクのヴァイオリンソナタは、何だか不思議な雰囲気を漂わせた曲として、私の耳にはきこえてきます。

ドイツ音楽の厳格な構築性とフランス音楽の「エレガンス」とが見事に融合しているような印象です。好きなヴァイオリン曲の一つです。

これは、彼の「出どころ」と関係があるのでしょうか。つまり、フランス国籍を持ってはいるが、実はドイツ系ベルギー人だということと…。

レコードは、昔から決定盤と言われ続けてきた、ティボーとコルトーによる古い録音と、グリュミオーのものを持っていますが、よく聴くのはもっぱらティボー盤の方です。

「ポルタメント奏法が時代がかって…」などとの評も見られますが、いっこうに古めかしさを感じず、むしろオシャレで曲趣をよく醸し出している演奏のように思います。

これらもティボーを聴き続けていくでしょう。

2007年3月19日月曜日

グレン・グールドの「ゴルドベルグ変奏曲」

グレン・グールドのゴルドベルグ変奏曲、1955年盤は、バッハを演奏するアプローチの多様性を可能にしたという意義があるのでしょうか。

音楽に関わる雑誌や書物でそのようなニュアンスの文章を何度か目にしてきました。

私は音楽学者でもありませんし、ゴルドベルグ変奏曲を聴いたのもこのレコードが初めてなのですから、何にも言えないのです。

それまでの「ランドフスカ等との演奏の違い…」「新しいバッハ像…」。……これらの説明も私にはあまりよく分かりません。

私は、ただただ、音楽を楽しむことができ、そのうえ心の糧にでもなるような音楽に出あることができればそれでよいのです。

私はこのレコードが出たての頃、ただその評判のみをよりどころにLPを買い、聴きました。ちょうど私はその頃大病を患い、病床で、カセットテープに吹き込んだものをラジカセで毎日聴いていました。

その時は、この音楽が私の心理状況にぴったりだったのです。この闊達で鮮烈を極めた演奏が心に届いてきたということです。

2007年3月18日日曜日

フランシスコ・アライサのレコード

フランシスコ・アライサのLPレコードやCDを少しずつ集めています。まだ集め始めたばかりで少ないのですが。

先日も、ネットオークションで、シューベルトの「美しき水車小屋の娘」を手に入れました。これは、私にとっては懐かしいレコードです。

これはアライサのレコードの中でも、ハイドンの「天地創造」と共に特に大切にしているものです。

所有しているのは、モーツァルトの「魔笛」(カラヤン、ベルリンフィル盤)、ハイドンのオラトリオ「天地創造」(カラヤン、ウィーンフィル盤)、シューベルトの「美しき水車小屋」のLPとCD。

また、私のコレクションには、10年以上前になるでしょうか、かつてNHKで放送されたシューマンの「詩人の恋」のVTRもあります。

私はこの人の声と歌唱が好きです。

一度だけ、彼のリサイタルをサントリーホールで聴いた(見た)ことがあります。オーケストラをバックにした、オペラのアリア集だったと思います。

アライサの艶っぽく、張りのある、通る声は、他では聴くことのできないものです。

2007年3月17日土曜日

マーラー 「交響曲第3番」

私のコンサート歴の中でも、聴いた回数の多い部類に入るのが、マーラーの交響曲第3番です。この曲、演奏終了までに90分以上もかかりますよね。

一曲としては非常に長く、聴き通すのに難儀するように思われますが、変化にとみ興味深く聴くことができます。それぞれの楽章を一つの独立した曲と考えると、また面白いですね。

両端楽章の素晴らしいオーケストレーションや第3楽章のトランペットソロ、第4楽章のソプラノ独唱等、聴きどころがたくさんあります。

第1楽章の終末部、遠くの方からきこえてきて最後に盛り上がる行進曲。最初に私はこの部分の「かっこ良さ」にハマってしまいました。クライマックスで、指揮台上で飛び跳ねる指揮者が多かったですね。

この曲は、随所に美しいメロディーが鏤められていますが、圧巻は何と言っても最終楽章ですね。この美しく、平静で、清らかな響きは、鬱陶しい日常生活から完全に解放してくれるような雰囲気があります。

自宅では、ホーレンシュタイン指揮ロンドン交響楽団の演奏を好んで聴きます。

2007年3月16日金曜日

モーツァルト 「弦楽四重奏曲第15番 ニ短調」

モーツァルトの弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」は、どれもが皆素晴らしいのですが、私が最も好きなのは、第15番ニ短調です。

この曲は、所謂「天才の苦悩」が曲の内容と結びついたものなのでしょうか。

第1楽章の冒頭や最終楽章のフィナーレは悲痛の音が聴けます。しかし、ここそこに見られる明るいメロディーは、暖かく、優しく、深く、感動的です。

私は特に、第1楽章の短調で始まった後現れる瑞々しく伸びやかなメロディーに何度も惹きつけられます。天才の素晴らしいメロディー。

私はかつて、この楽章だけをカセットテープに録音し、聴けるだけの場所、時間にかけて聴いていたのでした。

この曲に関わっては数種類のLPレコードを所有していたのですが、今手元にあるのは、ベルリン弦楽四重奏団のものです。

これは、録音もよく、気に入っていて、折に触れて聴いています。

2007年3月15日木曜日

グラナドス 「スペイン舞曲第2番 オリエンタル」 


グラナドスのピアノ曲「スペイン舞曲集」は、全12曲どれも魅力に溢れた曲ばかりですね。

第5番「アンダルーサ」が最も有名でしょうか。ギター編曲でもよく奏されます。どの曲も好きですが、私はとりわけ第2番「オリエンタル」を好みます。

知名度は「アンダルーサ」に譲りますが、その曲調は一度聴いたら忘れられないほどの素晴らしい内容です。この曲を聴くと、何だか切なくなってしまいます。

「オリエンタル」という曲名は、グラナドス自身がつけたのではなく、出版社によって決められたということです。それにしても、「オリエンタル」(東洋)という曲名はその曲調にぴったりのように思えます。

私が所有しているLPレコードは、アリシア・デ・ラローチャのものです。お国ものだけに、素晴らしいリズム感と音色感で、聴き手を引き込む演奏ですね。

2007年3月14日水曜日

ヴィオッティ 「ヴァイオリン協奏曲第22番」 グリュミオー

ヴィオッティのヴァイオリン協奏曲第22番は、メロディーが綺麗で時々レコードを取り出して聴いています。

この曲の第2楽章の一部は、確かNHK‐FMの何かの番組のテーマ音楽として使われていたような気がします。第2楽章でしたか。

私はそこでこの曲を知り、良い曲だと思っていました。

LPレコードは、ネットオークションで最近手に入れました。グリュミオーのヴァイオリン、デ=ワールト指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のオーケストラのものです。

ヴィオッティは、モーツァルトの一つ年長で、この曲は彼の38歳の時の作品だそうですね。響きとしては、ロマン派に近いものを感じてしまいます。

2007年3月13日火曜日

モーツァルト 「ヴァイオリンとピアノためのソナタ」ホ短調 K304 

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタの中でも、唯一短調の調性をもつソナタ第28番ホ短調をお気に入りの曲としている人はたくさんいるのでしょうね。私もそのうちの一人です。大好きな曲です。

私がこの曲を初めて聴いたのは、クラリネットとピアノによる二重奏でした。随分前のことになりますが、あるサロンコンサートで聴いたのです。

クラリネットのふくよかな音色とピアノの音が混じり合い、素晴らしいアンサンブルだったように記憶しています。

パンフレットには、この曲が元来ヴァイオリンとピアノのためのソナタであることが解説されていました。

私は早速、アルテュール・グリュミオー(Vn)と女流のクララ・ハスキル(P)によるPHILIPS盤(モノラル)を手に入れ、大切に大切に聴き続けてきたのです。

モーツァルトには短調の名曲が多いと言われますが、この曲ほど哀愁を漂わせて聴く者の気持ちに直接訴えてくる曲も珍しいのではないでしょうか。

今聴くと、何だか悲しみが心に強く突き刺さってくるようで、ちょっとつらいと思う時もあります。

2007年3月12日月曜日

フォーレ 組曲「ドリー」 ギター二重奏による

フォーレの曲は好きで、時々LPを取り出しては聴いています。歌曲集、ピアノ四重奏曲、ピアノ五重奏曲、レクイエム、ピアノ小品…。

組曲「ドリー」は、かわいらしい佳曲ですね。もともとはピアノ連弾用の組曲ですが、私はこの曲をギターの二重奏で知りました。

ジュリアン・ブリームとジョン・ウィリアムスの二人のギターの名手による演奏です。これは、ライブ録音でギター愛好家にとっては非常に注目されているLP(CD)なのではないでしょうか。

オリジナルのピアノ連弾も良いのですが、ギター二重奏というのもなかなか面白いですよ。

ギターという楽器の良さの一つは、多彩な音色を用いることができることだと思っているのですが、このLPでは、二人の名手によって絶妙な音色の変化とアンサンブルをもって表現されています。

素晴らしいですね。

私にとっては、オリジナル以上に、表現が拡大され、趣のある演奏に仕上がっているように感じます。ライブならではの音楽の高揚感も併せ持っています。

2007年3月11日日曜日

ディスカウ、バレンボイムのヴォルフのメーリケ歌曲集


フィッシャー・ディスカウとダニエル・バレンボイムが組んでフーゴー・ヴォルフの歌曲集を出していますね。

今はそれほどではありませんが、以前は取り出してよく聴いていました。

「メーリケ歌曲集」。これは、LPレコード3枚組で出ていましたね。このレコードでは、ディスカウのうまさは言うまでもなく、バレンボイムのピアノがまた凄い。

単なる伴奏としてディスカウにつけて弾いているのではなく、まるで一つ一つのピアノ作品を弾いているかのように、雄弁な表現なのですね。

私がよく聴いたのは、「癒えたものが希望に寄する歌」「少年とみつばち」「散歩」などです。

それにしても、この二人の共演は、何と深い音楽の表現を可能にしていることでしょう。

2007年3月10日土曜日

キングズ・シンガーズの絶妙なアンサンブル

キングズ・シンガーズのアンサンブルのことは、確かベルリンフィル百周年記念行事だか何だかでNHKFM放送で知りました。もう随分前のことになりますね。

その時、「何とまあ、凄い声楽家の集まりだろうか、何とまあずば抜けた、声楽家達のアンサンブルだろうか」と、驚嘆したものです。

その演奏会のアンコールだったと思いますが、「何曲知っている?」という名の曲を披露しました。所謂有名曲を次々とつなぎ合わせた曲ですが、その演奏の素晴らしさ、楽しさといったら何と言ったらよいか。

本当に抜群のテクニックとユーモアのセンス!。

その彼らがビートルズの曲のみを集めたLPレコードがありますね(今はCDですか)。私はこのレコードが好きで、第1面をよく聴きます。

楽しさと美しさの限りを尽くした声の芸術品!。

2007年3月9日金曜日

ビラ・ロボス 「ブラジル民謡組曲」 ブリーム

ブラジル風バッハで名を知られる作曲家ビラ・ロボスは、大変な多作家だったそうですが、彼の残したギターのための作品はギター愛好家にとってはまたとないご馳走になっているようです。

ギターのための作品のどれもが佳品といって良いですね。

「ギターのための協奏曲」など、神秘的な響きが進行する中にもロマンティックな薫りが漂う、不思議な曲です。

さて、ビラ・ロボスのギター作品の中で私が最も好きなのは、「ブラジル民謡組曲」です。どの曲もそれぞれに特徴をもった素敵な小品達です。

この組曲に関しては、ジュリアン・ブリーム以外に魅力的な演奏を私は知りません。全ての演奏がロマンの薫りに包まれた素晴らしい演奏です。

例えばワルツ・ショーロ。美しい音色を伴ってゆったりとしたテンポで歌われていきます。後半部分では、大きな呼吸の歌い方で音一つ一つに情感がこもっています。

ジュリアン・ブリーム。本当に素晴らしいギタリストです。

2007年3月8日木曜日

ロドリーゴ 「ある貴紳のための幻想曲」

ギターの名曲、あるいはロドリーゴの有名作品といえば「アランフェス協奏曲」ということになるのでしょう。

「アランフェス協奏曲」は、確かに素晴らしいです。しかし、同じロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」は、私にとっては「アランフェス協奏曲」以上に魅力があり、こちらの方が好きなのです。

協奏曲と書きましたが。この曲は、構成がやや特殊ですよね。ガスパル・サンスのギターのための舞曲を素材にして作曲された協奏風組曲といったらよいでしょうか。

「ある貴紳のための幻想曲」の曲の成り立ちについては解説書に譲りましょう。

この曲の素晴らしさの一つは、バロック音楽と近代オーケストレーションの融合というところにあると考えています。

ギターがバロックの典雅な響きを奏でながらも、同時に近代的な和声を伴ったオーケストラがバックで響きます。何とも素晴らしい響きです。

2007年3月7日水曜日

バッハ 「シャコンヌ」は素晴らしい

バッハの無伴奏パルティータ第2番の終曲「シャコンヌ」は好きで時々聴くのですが、この曲の素晴らしさを言葉で表現するのはなかなか難しいことだと思っています。

私は色々な楽器等による「シャコンヌ」の編曲ものをいくつか求め折りにふれて聴いています。そんなに集めたわけではありませんが。

セゴビアを筆頭にギターへの編曲で6枚ほど、ファジル・サイのピアノ、ローレンス・キングのバロック・ハープ、斉藤秀雄のオーケストラ編曲、ストコフスキーのオーケストラ編曲などです。オリジナルのヴァイオリンの演奏ではシゲッティ、シェリング、ミルシテインのLPを所有しています。

これらのうち、私の最もお気に入りの「シャコンヌ」は…。


アンドレス・セゴビアのギターによるものなのです。それも、ステレオ盤の方ではなく、録音の古いモノラル盤の方をとります。

この盤には、興味深いことに編集が不完全な部分があります。途中で演奏が止まってしまうのです。ニ長調へと転調する、安らかな音の流れの部分がありますが、この部分で誰でも分かるような編集のミスがあり、そのままになっています。

にもかかわらず、この盤は素晴らしい。音楽が前へ前へと進んでいく勢いがあります。セゴビアの若い頃の強靱な意志といったものを感じさせる演奏です。

2007年3月6日火曜日

カリンニコフ 「交響曲第1番」 スヴェトラーノフ

カリンニコフの「交響曲第1番」は、以前から佳曲として知られ、色々なところで取り上げられていた曲ですね。

私は彼の交響曲は、「第2番」を先に知りました。スヴェトラーノフ指揮ソビエト国立交響楽団の演奏によってです。親しみやすいメロディーが出てきて、いっぺんに好きになりました。

「第2番」は何度も聴きましたが、「第1番」のことは気にかけようともしなかったのです。

大のクラシックファンとして知られ、膨大なコレクションをお持ちの俵幸太郎さんがクラシック音楽に関する著書を出しました。何年前のことでしょうか。

その著書に、カリンニコフをはじめグレチャニノフなど、ロシアの交響曲に佳品が多いというようなことが書かれていました。当然、カリンニコフの「交響曲第1番」の紹介もありました。

この著書を読み、まだ聴いていなかった「第1番」を聴いてみようと思いました。そして聴いてみて、「第2番」と同じようにいっぺんに好きになってしまいました。

第1楽章に出てくるしっとりとした美しいメロディーは、音楽を聴くことの楽しさを何倍にも広げますね。

2007年3月5日月曜日

ベートーヴェン 「ピアノ協奏曲第1番」 ミケランジェリ、ジュリーニ


ミケランジェリのピアノ、ジュリーニ指揮・ウィーン交響楽団によるベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第1番」は、その昔確かNHKFMの音楽番組で聴いたのでした。

その時、この演奏がとても気に入ったので、LPレコードを求めようと頭の片隅でいつも考えていたのですが、これまで果たせないでいました。そして、時が流れて昨年暮れ、LP通販店から手に入れることができました。

思い出しました。このLPレコードは、ライブの演奏だったのです。そしてまた思い出しました。私はこの演奏のある部分に心を動かされていたことを。

第1楽章で、音楽が進行する中で、まるで階段を降りてくるかのように、ピアノが4連音で高音から低音へとかけ降りてくるパッセージがあります。

私は、この部分のミケランジェリの演奏に感動したのです。明晰で一点の揺るぎもない、粒ぞろいのタッチ。正確無比なその打鍵に揺すぶられました。

時間にすれば数秒の、こんな部分の演奏に心を動かされたのであります。

2007年3月4日日曜日

タルレガ 「アルハンブラ宮殿の想い出」Ⅲ

「アルハンブラ宮殿の想い出」の演奏では阿部保夫氏のものが私のお気に入りだということは、前回にお話ししました。

そこへ、素晴らしい演奏のCDが登場することとなるのです。

あるギターショップで偶然に見つけたCDなのですが、演奏者は阿部氏と同じく日本人の北口功さんという方でした。こうして西洋音楽を日本人が優れた演奏をすること自体、大変嬉しいことですね。

私は勿論、タルレガの「アルハンブラ宮殿の想い出」の演奏を全て聴いたわけではありませんから、他にも素晴らしい演奏があるに違いありません。

しかし、現時点において、この「アルハンブラ宮殿の想い出」の演奏に関しては、もうこの北口さんの演奏があれば他にはいらないとさえ思ってしまったのです。(この考えは、本当は良くありませんね。音楽の楽しみ方を狭めてしまうことにもなりかねません。)

それくらい、私の耳には美しく感じられたのです。

使っているギターは、1867年にアントニオ・デ・トーレスという人が製作した名器だそうです。

他にこのアルバムには、バリオスのトレモロ曲も演奏されているのですが、とにかくこの北口さんのトレモロ演奏は美しい!。

2007年3月3日土曜日

タルレガ 「アルハンブラ宮殿の想い出」Ⅱ

「アルハンブラ宮殿の想い出」は日本人ギタリスト阿部保夫氏の演奏で初めて聴きました。珠玉のギターアルバムとかいうレコードにおさめられていた一曲です。

この演奏が、私の中では、この曲の演奏の基準となるものでした。トレモロのつぶが整っていて、端正で非常に美しい演奏です。

その後、イエペスやセゴビアなどの演奏を知ることになるのですが、私にはさほど感じ入るものがありませんでした(多分私の耳が悪いのでしょう)。

イエペスの演奏は、何だか歌い回しやタッチが「かわいている」ような気がします。セゴビアの演奏は、トレモロのつぶが揃っていないような印象を受けました。

更にその後聴いたジョン・ウィリアムスの演奏は、確かにテクニック的には申し分なく、トレモロも非常にしっかりとしたタッチでつぶが揃っているのですが、心に訴えかけてくるものがないように思えたのです。

その他、ラッセル、山下和仁、フェルナンデス…等色々な人の演奏を聴いてきましたが、それほど印象に残っているものはありませんでした。

私には、阿部氏の演奏が、心にずっと響き続けていたのです。

2007年3月2日金曜日

タルレガ 「アルハンブラ宮殿の想い出」Ⅰ

クラシックギターを愛好している人ならば知らない人はいない名曲、タルレガ作曲「アルハンブラ宮殿の想い出」。

私もギターを少しかじっていた者として、ご多分に漏れず、この曲には随分と魅せられてきました。

ギターを始めた頃、「禁じられた遊び」ぐらいしか知らなかった私は、この「アルハンブラ宮殿の想い出」を初めて聴いた時、その曲調の素晴らしさに胸を打たれました。

たった4~5分の短い曲ではありますが、美しく情感を持ったメロディーは、自分の心の中に「すうっ~」と入ってきたのです。

当時ステレオ装置もなかった我が家に簡易なレコードプレーヤー(プレーヤーとスピーカーがくっついていたもの)があって、この短い曲を1日に何度も何度もかけるのでした。

私はこの曲によって、クラシック音楽という、広く深く素晴らしい世界に踏み入ることができたのです。私にとっては、本当に大切なかけがえのない曲となっています。

2007年3月1日木曜日

シューベルト 「美しき水車小屋の娘」Ⅲ プライ

シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」のLP、CDの中では、最も聴いた回数の多いのがヘルマン・プライのバリトン、レオナード・ホカンソンのピアノ伴奏によるLPです(フィリップス盤)。

ある時は、日がな一日というように、飽きもせず繰り返して聴いていました。

前にも書きましたが、この「美しき水車小屋の娘」の魅力の判断基準となる第一曲「さすらい」の歌唱…。中庸を得たテンポですが、リズム感のあるピアノ伴奏に乗ってプライの艶のある美声が耳に届いてきます。

3番の歌詞「Die gar nicht gerne stille stehn, Die sich mein Tag nicht mude drehn」のフレーズ。私としては、プライの「さすらい」の一番の聴きどころだと思い、その部分にさしかかると思わず身を乗り出してしまうほどです。

その発声の切れ味といい、表現といい、本当に素晴らしい!。
このLPは、今3枚目ですが、私の宝物の一つとして長く聴いていくこととなるでしょう。

プライの「美しき水車小屋の娘」(ロンドン盤)ということでネットオークションで買ってみました。素晴らしい歌唱には違いないように思いますが、フィリップス盤には及ばないような気がしました。

2007年2月28日水曜日

シューベルト 「美しき水車小屋の娘」Ⅱ ディスカウ

シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」を初めて聴いたのは、フィッシャー・ディスカウのバリトン(伴奏はジュラルド・ムーア)のカセットでした。今から25年以上前のことです。

その頃通勤に1時間ほどかかる職場で、往復の車の中で毎日飽きもせず聴いていました。その当時、「凄い歌唱力!」と感嘆したものです。

久しぶりに聴いてみたのですが、懐かしさがこみ上げてきます。当時の心理状態や通勤途中の情景までがよみがえってきます。

「Das Wandern」のフレーズで、キーがやや高めになるところがあるのですが、当時から妙に耳についていたことを思い出します。今も変わりませんね。

このディスカウの歌唱を今聴くと、やや凄みのある歌い回しが耳につくような気がします。全曲聴き通すことに苦労がいりました。

でも、当時、私の気持ちを高めたり、和らげたり、慰めたりしてくれたカセットには違いありません。何しろ、本当に好きな曲集なんです。

2007年2月27日火曜日

シューベルト 「美しき水車小屋の娘」Ⅰ プロチュカ


シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」のCDを久しぶりに買いました。近頃話題に出ているというプロチュカのテノールです。

色々な評では、「思い入れの入った名盤」「情熱的な歌唱の名盤」などという言葉が並んでいました。実際に買って聴いてみて、その期待以上の歌唱に満足しました。

全くの個人的な考えなのですが、この曲の魅力を判断する基準は、私の場合、第一曲「さすらい」にあります。テンポとリズムが心を弾ませるかどうか…。

このCD。この点で、正しく決まってしまったんです。何という快いテンポとリズム!。まあこれは、ピアノ伴奏の素晴らしさによるところも大きいのですが。

全編を通して、瑞々しく溌剌とした歌唱を聴くことができました。満足の一枚で、2度ほど通して聴きました。

私のお気に入りの一枚!。 
プロチュカ~シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」

2007年2月26日月曜日

サビーカスのフラメンコ 「アレグリーアスの変奏」

私は以前からクラシックは大好物なのですが、フラメンコの音楽も大好きです。

好きといっても、これまでそんなに聴いてきたわけではありません。サビーカス、マニタス・デ・プラタ、ニーニョ・リカルド、セラニート…。

その中でも、真っ先に私の心をとらえたのはサビーカスの演奏です。

彼の残した「フラメンコの至芸」というLPレコードの中の「アレグリーアスの変奏」。この曲の後半部分の演奏は、本当に鮮やかで、切れ味が良くて、完璧で素晴らしい。

切れ味が良いといっても、どこかの誰かさんみたいに荒っぽさは全くないのです。

時々私は、このLPのこの曲だけをかけますが、その度に唸ってしまいます。そして、カスタネットを持って踊り出したくなるような心持ちになります。

このLPは2枚目のものなのですが、最初に求めた一枚は、CD化の流れによって処分してしまった経緯があります。

CDがあればことたりると思ったのですが、どうも楽しめません。そこで、このLPを十年ほどずっと探していたのですが簡単には見つかりませんでした。

ところが最近ネットオークションで見つけ、やっと取り戻すことができました。私にとってはそう言う意味でも大切なLPなのです。

サビーカスの素晴らしい演奏、「アレグリーアスの変奏」。

2007年2月25日日曜日

黄金のトランペット~マリオ・デル・モナコ

「君の好きな歌手を3人あげなさい」と言われたら、「そんな殺生な」と言い返したくなりますが、それでも頑張って3人にしぼるとすれば…。「マリオ・デル・モナコ」「ユッシ・ビョルリンク」「フランシスコ・アライサ」となります。

「何という取り合わせ」「どういう基準でそうなるんだ」と思われても仕方がありません。それぞれの個性が好きなんです。

マリオ・デル・モナコ。黄金のトランペットと言われた、テノール歌手ですよね。イタリア歌劇団日本公演では、出演したどの演目も伝説的な名唱を披露して、その名が語り継がれています。実演で体験された方は、さぞや幸せだったでしょうね。

私は、ずっと以前にNHKが特集したイタリア歌劇団公演をテレビで見て、これはVTRにも録画しました。その中で強烈に印象に残っているのは、レオンカヴァルロの「道化師」です。

第1幕の最後の場面、有名な「衣装を付けろ」のアリア。言いようもない怒りと苦悩を独白する、その鬼気迫る歌唱と演技に驚愕し、恥ずかしながら落涙してしまいました。凄い歌手がいたものだな、と…。

LPとしても購入し、CDにも焼き付け、大切な宝物としてレコード棚の大事なところに保管してあります。

マリオ・デル・モナコのあの輝かしいトランペットを聴く度、心が躍ります。

2007年2月24日土曜日

シューベルト 「アルペジョーネ・ソナタ」

シューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」。この曲のメロディーは、本当に美しいですね。少しもの悲しさをたたえた中に品というものがあります。

チェロとピアノの組み合わせが一般的でしょうが、その他ヴィオラとピアノ、フルートとピアノ、またフルートとギターの組み合わせも面白いですね。

私はかつて、実演でフルートとギターの組み合わせによる演奏を聴いたことがあります。優しく奏でるギターの小音量の調べに、寄り添うようにフルートの音色がかぶさり、親和感を漂わせた佳い演奏でした。印象に残っています。

私のお気に入りは、ポール・トルトゥリエのチェロ。品格のある演奏です。ロストロポーヴィチの演奏は、ちょっと大げさすぎて、あまり好きになれませんでした。

この曲はどの楽章も素晴らしいですね。第3楽章のハンガリー舞曲風。この楽章で長調に転じる部分は、とても素晴らしい瞬間で私のお気に入りです。

シューベルト特有のメロディーの飛翔!。

2007年2月23日金曜日

カントルーブ編 「オーヴェルニュの歌」 ダヴラツ


ダヴラツのオーヴェルニュの歌及び民謡集が収録されている2枚のLPレコードを、私は宝物のように大切にしています。

そんな大げさな曲はないし、一つ一つとってみても、内容的・構成的に深みがあるということでもありませんが、本当に好きな曲集と歌唱なんです。

この曲集では、ロス・アンへレス、フレデリカ・フォン・シュターデ等の有名なCDが出ているはずですが、私はやはり、ダヴラツです。この人の声と歌い回しは、何とチャーミングなことでしょう。

オーヴェルニュの歌の方は有名ですが、私は民謡集の方も好きです。「アントワーヌ尼さん」という曲など、かわいらしく無邪気な曲の数々。

ちょっと仕事を頑張りすぎて疲れている時、このLPを聴くと心が清々しく明るくなります。本当に珠玉の作品です。

ダヴラツのオーヴェルニュの歌及び民謡集。私は今後も大切に聴いていくことでしょう。

2007年2月22日木曜日

モーツァルト 「クラリネット協奏曲」 ライスター、群響

モーツァルトのクラリネット協奏曲は素敵ですね。

私のお気に入りは、アルフレート・プリンツのクラリネット、カール・ベーム指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の演奏と、カール・ライスターのクラリネット、豊田耕児指揮群馬交響楽団の演奏です。

プリンツとベームのレコードは、とにかく音が円やかで柔軟な演奏。多少力感に乏しいと感じられるかも知れませんが、それはそれは素晴らしい演奏です。

ライスターと豊田、群馬交響楽団の演奏。ライスターの磨かれたクラリネットの音に必死につけていくかのように群響が奮闘しています。これは、群馬交響楽団の金字塔といってもよいLPレコードではないでしょうか。

何しろ、「あの」ライスターと「おらが」地方オーケストラが共演できた記録なのですから。私はこのようなことが心底嬉しいのです。

演奏の質自体はウィーンフィルに比較するべくもないかも知れませんが、私にはこのオーケストラの懸命の熱演のように感ぜられ、胸をつかれる思いにかられます。

時には群響の苦難の歩みに思いをはせ、こみ上げてくる瞬間もあるのです。私にとって大変貴重なレコードです。

2007年2月21日水曜日

マーラー 「交響曲第9番」 バルビローリ、ベルリンフィル

人生の困難な局面を救ってくれた曲と演奏…。

こんなことを書くと、大げさで恥ずかしく笑われそうですが、私にはそういう曲と演奏が「あった」と断言します。

マーラーの交響曲第9番。ジョン・バルビローリ指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏。

二十数年前の就職したての頃、全く仕事がうまくいかず悶々とした日々を過ごしていました。時には自暴自棄になりかけたことも何度もありました。

そんな状況を受け止め、心を慰めるかのように毎晩かけていたのがバルビローリのマーラー第9だったのです。

一体何度聴いたことでしょう。今レコード棚には同じLPが4枚(2枚組なので、正確には8枚)あります。そのうち2枚は聴きづらくなってしまっています。

この曲には同じベルリンフィルをバーンスタインが指揮した凄演のCDをはじめ名盤揃いですが、私にはこのバルビローリのもので決まりです。

第4楽章の弦楽器の深々としたうねりはただものではありません。私は本当に何度も、この演奏に打たれました。

私の大切なレコード、バルビローリのマーラー第9。

2007年2月20日火曜日

チャイコフスキー 「交響曲第5番」という曲は

チャイコフスキーの「交響曲第5番」。今はほとんど聴く機会を失ってしまいましたが、その昔よく聴いた曲の一つです。

最初に聴いたのは、確か岩城宏之氏がNHK交響楽団を指揮した演奏会で、今から三十年以上前のことだったと思います。

メロディーも綺麗ですが、とにかく「かっこいい」というのが第一印象でした。特に最終楽章。これでもか、これでもかと言わんばかりの曲の盛り上がり方に、私ははまってしまいいっぺんに好きになってしまったのです。

曲調が盛り上がると、岩城氏が目を大きく見開いて汗だくで棒を振っていたのも印象深いことでした。その頃は、N響アワーをよく見たものです。

ところで最近、ムラビンスキー指揮レニングラード交響楽団のスタジオ録音を聴く機会がありました。ドイツグラモフォンのLP盤です。

第1楽章などは、彼の演奏としてはかなりテンポの揺れが激しく、大きな歌い回しも見られ、少し驚きました。はて、こんな演奏をする人だったかな。

かつて親しんだこの曲。徐々に聴く機会も少なくなり、これからどのくらい聴くことがあるのでしょう。