2007年3月30日金曜日

モーツァルト 「魔笛」 ベーム、ベルリンフィルの盤

モーツァルトのオペラ「魔笛」のレコードには名盤と言われるものが数多くありますが、私にとってはベーム指揮ベルリンフィルの盤が手放せません。

ヴンダーリッヒのテノールに痺れるのは言うまでもないことですが、私には、それ以上に、このレコードでは女性陣の歌唱が何とも魅力的にきこえてくるのです。

レコードの第1面、三人の侍女の三重唱から、既に耳が釘付けになってしまいます。アンサンブルの見事さは言うまでもなく、ここではハーモニーが何と綺麗に浮き立ってきこえるのでしょう。

柔らかい声の質とともに、透き通っていて、清冽で、絶妙なバランスのハーモニー。

吉田秀和氏が音楽に関わる何かの本の中で、「歯にしみてくるような和音?」とか何とかというような表現を使われているのを読んだことがありますが、正にその言葉を使わせていただきたい三重唱なのです。

レコードの第2面では、私にとっては、このレコードの一番の聴きどころが現れます。第6場で歌われる、夜の女王のレチタティーヴォとアリアです。

最後の方に、「als Sieger sehen,So sei sei…」と歌われる、音が行ったり来たりする大変な難所の部分がありますが、もうここは人間の声を聴いているのではなくて、オーボエの技巧を聴いているような錯覚さえ覚えます。

歌っているのは、ロバータ・ピータースという人です。私はこの人のことはあまり知りません。しかし、本当に素晴らしい。

邪道な聴き方しかできませんが、私はこれで満足しているのです。

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