シューベルトは、「私は楽しい音楽というものを聴いたことがない。」と、常々語っていたそうです。
彼の音楽は、美しく親しみに溢れてはいますが、聴いているうちに、寂寞感を伴ってあてどもない孤独な世界へと、いつの間にか連れていかれてしまうことがあります。
ピアノ三重奏曲は、そのようなことを実感するに足る音楽です。
どちらも素晴らしいのですが、最近は第2番の方をよく聴きます。
第2楽章は、この曲の白眉です。シューベルトの室内楽作品の内でも、最高の傑作と言えるのではないでしょうか。
この楽章が表現している世界は、シューベルトの心の内を語っているものなのでしょうか。
言いしれぬ孤独感と絶望感が、ひたひたと忍び寄ってくるような音楽内容です。冬の旅に共通するものがあるように思えます。
第3楽章。力強いスケルツァンドの音楽が続くと思ったとたん、突然、PPで淋しげな一節が割り込んできます。寂寞の思いに引き戻されるような…。
私はこの曲は、エテルナのベートーヴェントリオの演奏でよく聴きます。
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